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女子バスケ期待のルーキー、東藤なな子の大きな飛躍

女子バスケ期待のルーキー、東藤なな子の大きな飛躍
(C)Wリーグ

2019年10月第21回Wリーグ開幕。今シーズンは、注目を集めた大型ルーキーが多数いる中、一際輝きを放っている選手がいた。北海道の札幌山の手高校出身、トヨタ紡織サンシャインラビッツの東藤なな子である。

トヨタ紡織はレギュラーシーズン4位、その中で東藤はルーキーでありながら16試合中全試合でスタ―ティングメンバーの座を譲らなかった。更にチーム最多となる平均得点14点(リーグ全体8位)をあげるなど期待以上の活躍を見せ、チームを牽引した彼女は見事に今季レギュラーシーズンルーキーオブザイヤーに輝いた。

これを機に日本代表候補にも選出されるなど、今後の活躍が注目されている。今回はそんな彼女の素顔に迫ろうと思う。

≪文・中川聴乃≫

思いもしないバスケとの出会い

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バスケットとの出会いは、小学校4年生。父も兄もバレーボールをしていたことから、当初はバレー部に入部を希望していたという。しかし、彼女が入学した札幌市立新川中央小学校にはバレー部がなかった。

バレーボール以外考えられなかった彼女だったが、幼稚園、小学校とずっと一緒で仲良しの幼馴染4人がバスケット部への入部を決めることで、彼女とバスケットとの距離は縮まっていった。

幼馴染であった彼女達の決断が彼女の背中をそっと押してくれた。これが東藤なな子とバスケットボールとの運命的な出会いだった。彼女とバスケットを出会わせてくれた幼馴染とは、いまでも家族ぐるみの付き合いをするほど、仲良しなのだと話す。

高校進学を決める際、文武両道で進路を考えていた東藤だったが、幼馴染の関ななみ(日立ハイテク)、畠山愛花(桐蔭横浜大学)が札幌山の手高校への進学を決めており、東藤自身も札幌山の手への進学を決めた。

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高校時代は何がなんでもシュートを決めることだけをとにかく徹底してやっていた。無我夢中すぎて、バスケット以外の高校時代の記憶はほとんどないと話すほど、練習に没頭する日々。高校時代は仲間と一緒にまっすぐに練習に励んだ。

そして、そのひたむきな努力が彼女のバスケットセンスに更に磨きをかけていったのだ。

Wリーグの道へ

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高校を卒業して、彼女が選んだのはWリーグへの道だった。

高校時代とは違って、毎日がバスケット漬けの生活。最初は慣れない生活で大変だという答えを予想していたが、彼女からは意外な答えが返ってきた。

「バスケ漬けの毎日で凄く楽しい。シーズンに入っても毎週相手が変わる分、相手の戦略にアジャストすることがとにかく楽しい」

さすがルーキーオブザイヤーに輝いた選手の答えだ。

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試合では、高校時代は通用したプレーが通用しない場面もあったが、それこそが彼女にとって面白みを感じるポイントなのだ。

彼女が昨シーズン一番苦労したところは、高さのある選手をかわす技術だ。特にENEOSの渡嘉敷来夢、デンソー高田真希がカバーに来た時が一番の課題だった。

しかし試合をこなすごとに研究を重ね、高さのある選手がカバーにきても得点を決めるられるようになっていった。シーズンを通して、実戦で大きな成長を遂げたことに間違いはない。

夢は日本代表でエースになる事

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「FIBA U18 女子アジア選手権 2018」

彼女はこの大会の決勝で中国に76-89で負けてからもっと世界で勝ちたい、そしてもっと活躍したいという想いが強くなり、そこから日本代表を意識するようになった。目の前には東京五輪がある。しかし東藤はまだ東京五輪で自身がプレーをしている姿を想像できないでいるようだ。

3ポイントシュートの確率をもっと上げること、さらに1対1における相手との駆け引きや体の強さ、ディフェンスの対応力など、まだまだ強化すべき点は山積みだと語っている。しかし、彼女にはリングまで切り込める爆発的な個の強さがあると私は思っている。

1対1が強い選手は国際試合であれ、大事な局面で活躍できる期待が十分にあるからだ。まだまだルーキー1年目。今シーズンで2年目になる若手選手であるが、私自身の彼女への期待度はとても高い。自身の課題にひたむきに取り組み、更に変貌して行くであろう彼女の成長の過程を心から応援したいと思う。

どんなに大きな壁が立ちはだかろうとも、きっと乗り越えて力強いプレーでエースとして活躍してくれるだろう。そして沢山の人々から応援される選手になると確信する。

その時、東藤なな子が着ているのはきっと、「JAPAN」のユニホームであるに違いない。

≪筆者プロフィール≫
文・中川聴乃
長崎市立仁田小学校の小学4年の時からバスケットボールを始め、純心中学校・純心女子高等学校に進学。中学2年時ではレギュラーでスタート出場し、全国大会でも主力で活躍。中高一貫校で高校に進学後、長崎県選抜 に選出、 U-18代表にも選出された。日本一になりたい思いを抱き、高校1年時の冬に桜花学園高校に転入。 高校3年生時、日本代表に選出。2006年3月、同高校卒業、シャンソン化粧品に入社。 2006年ドーハアジア大会の日本代表に選出される。その後はケガのため出場機会が激減したが、2012-13シーズン に復帰。2013年、デンソーアイリスに移籍。2015年5月に現役引退。2016年2月に退職し、同年4月からジャパン・スポーツ・マーケティングに所属。現在、バスケットボール中継の解説者やリポーター、バスケットボールの競技広報活動を行っている。